宿題や勉強に集中し続けることが難しい子どもは沢山います。特に家や自分の部屋などは、ゲームやテレビ、好きな本など気になってしまう誘惑が沢山あって中々学習に注意を向けることが大変な場所でもあります。さらに、学年が上がるにつれて複数の学習課題を帰宅後の限られた時間で計画的にこなさなければいけません。特に発達障害の特徴をもつ子ども達の中には、自分がしなければいけないことを計画立てて済ませていくことが難しかったり、一つのことに夢中になると他のことに意識が向かなくなってしまう子どもがいます。
こういった特徴は本人が怠けようとしたり、ズルをしようと思っているからではなく、まだはっきりとは分かっていませんが脳の機能が他の多くの人達とは異なった働きをしているからかもしれないと言われています。勉強が終えられないのでいつも家族と喧嘩になったり、自分自身でも自分は駄目な人間だと思ってしまうなど、周りと本人の評価が低くなってしまうことがあります。
そこで、子どもが勉強をする時にRAINMANを使って、自分がしなければいけないことを計画したり、時間の経過を見ながら学習を進めることにしました。
ここでは以下の4つのRAINMAN活用事例をご紹介します。

中学2年生で高機能広汎性発達障害があり、通常の学級に在籍しているA君は学校から帰ってゲームをしたりプラモデルに夢中になって宿題に中々取り掛かれませんでした。宿題を始めてもすぐに絵を描いたり、漫画を見たりしてはかどりません。その為、宿題が終わるのが深夜になってしまったり、宿題が終わらないまま学校に提出せざるをえないことが何度もありました。母親から怒られることもよくあり、二人の関係は悪く、A君は自分自身でも中学生にもなってどうして自分だけ一人で宿題ができないのか悩んでいました。紙にその日にする勉強のスケジュールと時間を書いても一向に改善されませんでした。
そこでA君に、勉強をする時にRAINMANを使ってもらうことにしました。勉強のスケジュールを立てて、一つひとつの勉強の時間にタイマーを起動させるようにしました。自分で決めた時間内に決めた勉強ができたらポイントが貯まるようにもしました。
そうしたところ、それまでA君は一端学習を始めても他のことに気が散ってしまうことがあったのですが、RAINMANを使ってからは他のことに気が散ることが少なくなりました。また、以前は20分も集中して勉強することができなかったのが、RAINMANを使ってからは時間一杯(40分以上)集中して勉強をすることができるようになりました。さらに、「まだまだ」とか「あと少しだから急がないと」など時間を気にするようになり、急いで勉強を終えるなどの行動が見られるようにもなりました。自分でも「勉強がいつもよりはかどった」と言い、今は母親に叱られることなく一人で学習できているようです。

中学1年生で注意欠陥多動性障害があり、特別支援学級に在籍しているB君はそれまで一人で勉強を決まった時間したことがありませんでした。いつも先生や家族が付いてくれていたので、一人で学習を始めようとしても「何したらいいか分からないよ」と言って混乱してしまうのです。やらなければいけないことを紙に書くと「こんなにできないよ」とこの方法もうまくいかず、自分では中学生になって一人で勉強しなければいけないと分かっていてもできない状況が続いていました。また、休み時間に絵を描いたり玩具で遊び始めると勉強の時間になっても遊びを止められずに大人から注意されたり、ぐずってパニックになることがありました。
そこでB君にもRAINMANを使ってもらうことにしました。B君は集中できる時間が短く少しの学習課題を休みを挟んで沢山やる方がはかどるタイプでした。また、最初にやらなければいけない学習量が全部分かってしまうと、全部できない気持ちになってしまうのでB君と話しをして、大人が学習のスケジュールを立てることにしました。そして学習が始まったら、RAINMANの操作やタイマーの起動はB君自身がすることにしました。そうしたところ、B君はRAINMANで表示された学習課題を自分で用意して、タイマーを起動させ、時間になるまで学習に集中して取り組み、休み時間には休んで時間になったらすぐにまた次の学習に移ることができるようになりました。B君はRAINMANの予告アラームや終わった後の確認音がお気に入りで、表示と音が鳴ると安心したように勉強を始めたり終えたりしているようでした。

中学1年生から3年生の広汎性発達障害や対人関係などにつまずきのある5名の子ども達のグループで定期的に集まって様々な活動をしている中でRAINMANを使用した例です。
彼らは活動の中で昼食を自分達で調理しているのですが、毎回調理の手際の悪さから多くの時間がかかり調理に対してネガティブなイメージを持っていました。「こんなに時間かかって料理して疲れるくらいならインスタントラーメン食べた方がましなんじゃないか」や、「一部の人間だけが調理しないと進まない」などといった発言が見られていました。そこで、調理の手順や役割を紙媒体に作成した場合とRAINMANを使用した場合とで、調理活動でどのような変化があるか調べることにしました。
まず紙媒体に調理の手順と役割を記入しそれを見ながら料理を何回かしました。別の日には紙媒体の代わりにRAINMANで調理の手順と調理の役割が分かるようスケジュールを作成してこれを見ながら料理を何回かしました。
その結果、RAINMANを使用している時の子ども達の発言がそれ以外の時より減っていることが分かりました。つまり、RAINMANを使用している時は自分の役割が分かりやすくなり、他の人との関わりや干渉が減少した分、自分の作業に集中して取り組めるようになったと思われました。また、子ども達はRAINMANを使用している時の調理について「役割分担」や「手際の良さ」という観点のアンケートでRAINMANを使用する前より評価が上がったことも分かりました。さらに「ツールがあったから誰が何をするかがよく分かった」や、「平等に(調理の役割が)分担されるし、スケジュールを作る時に何をするかが分かる」といった発言も見られました。

中学3年生のC君は受験勉強が全くはかどらずに困っていました。学校の宿題だけでなく、塾の課題、受験勉強用の課題など沢山の勉強を帰宅してからどのように進めていいのか分からないだけでなく、夕飯の時間が変わるといった少しの予定の変更でその語の学習が疎かになってしまうことも度々ありました。その為両親から注意を受けることも頻繁で、自分自身もこのままだと高校には受からないと心配をしていました。そこで受験勉強でRAINMANを使用すると共に、その振り返りを支援者と一緒にすることにしました。
最初、C君はRAINMANで立てた計画通りに受験勉強を帰宅してから進めることができていました。本人と母親の満足度も高かったのですが、帰宅時間や夕飯の時間が変わるとそれからRAINMANのスケジュールを作成する時間も変わり、その日の学習量が非常に少なくなってしまうことがありました。そこで支援者との振り返りの中でC君は帰宅してすぐにRAINMANを作成するようにし、たとえ学習以外の日課の時間が変わっても学習時間は確保するようにしました。そして暫く順調に学習を進めていたのですが、勉強中に自分の部屋にあるプラモデルや漫画を読みふけってしまい気がつくと夜遅くなって勉強する時間が無くなってしまうことが生じるようになりました。そこでまた支援者の振り返りで、RAINMANのスケジュールの中に帰宅したらまず最初に部屋の片付けをして、その時に気が散ってしまうものは必ず遊びのコーナーに仕舞うようにしました。このように、少しずつRAINMANを使用した学習を改善していったC君は毎日、学習に対する自分の満足度を付けていたのですが80%前後で高い数値を維持していました。
ところが、次第にRAINMANの時間通りにしなくなる日が増えてきました。その日の内に終えれば時間が過ぎてもいいように両親の目には映っていたようです。そこで支援者との振り返りでC君は自分の満足度だけでなく両親の満足度とその理由も毎日勉強が終わった後に聞き取ることにしました。C君は保護者の満足度を聞いて自分の満足度を見つめ直すこともあれば、たとえ両親の満足度が自分のそれとは違っていても自分は自分の目標を達成できたからこれでいいと思って満足度を出すこともあります。これをしたことでC君も保護者も互いにどういう観点で勉強というものを捉えているかを知るきっかけになったのかもしれません。現在は2次試験のための課題の勉強をRAINMANのスケジュールに組み込んで取り組んでいるようです。