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ウェブ屋さん、ロービジョン体験キット使ってみませんか?

2011年10月17日:ウェブアクセシビリティ:川路

ロービジョンの見え方をいろいろ知りたいと思って調べていたところ、京都ライトハウスに「ロービジョン体験キット」というものがあることを知り、先日電話をして郵送で取り寄せました。今回は、その体験をご紹介します。

ロービジョン体験キットと使用説明書

ロービジョン体験キットの内容

ロービジョン体験キットは、一式150円。学校の教材などでも気軽に使えそうです。

視野狭窄体験メガネ、白濁体験メガネの基本メガネを工作し、そこにフィルムや紙を組み合わせることで、視野狭窄体験、白濁体験の他、視野欠損状態の体験をすることもできます。

メガネキットの用紙の他に、様々な大きさの字や迷路、白黒反転した字などが印刷された用紙もセットに含まれています。メガネをかけた状態での字の読みやすさ・読みにくさ、作業のしやすさ・しにくさなどを体験することができます。

様々な大きさの文字が、黒や白の背景色に印刷されている用紙

迷路などが印刷されている用紙

白濁体験

ウェブアクセシビリティのユーザーテストを行うと、ロービジョンの方から「画面がまぶしい」というが意見がでる時があります。正直私としては、直接光源を見ていないのに「まぶしい」という感覚がいまいち理解できずにいました。

組み立てた白濁体験メガネ

早速組み立てた白濁体験メガネを、かけて文字を見てみて「はっ!」としました。白が拡散するんです。白が拡散することで、光源を見た時のようなまぶしさに近いものを感じました。

早速印刷された文字を見てみます。同じ大きさの文字でも、白地に黒文字は、白地が光を拡散させて黒い文字がぼやけてほとんど読めません。逆に黒字に白文字は、ぼやけながらも光が拡散しない黒が多いため、白い文字をなんとか読むことができました。

体験メガネをかけずに見たサンプル文字

体験メガネをかけてみたサンプル用紙。白地に黒文字はほとんど読めない状態。

ウェブサイト閲覧の際は、本の「白」とは違いモニター自体が光を発しているので、まぶしさや目の疲れは相当なものではないか?と想像しました。

ただし、ここであまり極端に考えてしまってはいけません。ウェブサイトを黒背景に白文字にするのがベストか?という考え方です。実際には、ロービジョンの方でも見え方が違い、黒背景に黄色文字が見やすいという人もいますし、黄色がまぶしいという方もいます。
様々な見え方の人がいるため、「この色の組み合わせがベスト」というものはありません。

この体験を通してウェブ制作者が対応すべきことは、

  • 多くの人が利用するデフォルトの状態で、ウェブアクセシビリティガイドラインのコントラスト比に対応すること
  • 利用者が自分で見やすい背景色と文字色に変換することを妨げないように制作をすること
  • 利用者が色を変更しても(色を識別できなくても)、情報が伝わるようにすること

これらに配慮することで、アクセシブルなウェブサイトを提供することができるようになります。

視野狭窄体験

メガネに四角錐の筒をつけて、その先に小さな穴を開けます。そうすることで、ほんの少しの領域しか見えないようになり、視野狭窄体験をすることができます。

組み立てた視野狭窄体験メガネ

見える範囲が極端に狭いので、例えばウェブサイトを見ているとき、自分のマウスのカーソル位置さえ探すことができません。「見えている人は、みんなマウス操作ができる」という先入観は、あっさりと崩れました。

視野狭窄でなくても、極端に視力が低い場合は、画面を大きく拡大していたり、画面に目を近づけるため「全体を見渡す」ということが難しくなります。そのため、何かの操作で、画面の一部の情報が変化しても、とても気が付きにくい状態です。
また、文章を読んでいて次の行を読み進める際適切な行間がないと、同じ行を読んでしまったり、1行のみ飛ばしてしまったりすることもよくあります。

私が視野狭窄の方によく言われるのが「ホワイトスペース」。画面の一部しか見えないため、左から情報を追っていくのですが、ホワイトスペースが続くことでそこが情報を終りであると認識してしまいます。
逆に、左右にコンテナとコンテナの間に余白がないと、別のコンテナと認識できずに続けて読んでしまい、意味が分からないということも多いそうです。

ウェブ屋さん、是非体験あれ!

今まで、私自身当事者から話を聞いたり、知識として知っていたのと、シミュレーションアプリなどである程度ロービジョンについて理解できていると思っていたのですが、実際に体験してみると、想像とあまりの違いに驚きました。

一人で「え!こんなんなの?この見え方は、そりゃ大変だわ~」とつぶやいてしまったくらいです(笑)

まだウェブアクセシビリティに取り組んでいないウェブ屋さんも、すでに取り組んでいるウェブ屋さんも、ぜひ一度体験してみてほしいと思います。なぜ、ウェブアクセシビリティガイドラインが必要なのか、なぜこの達成基準が定義されたのか、その意味がよく分かると思います。

また、ウェブアクセシビリティガイドラインにはなくても、「配慮」したほうが良いな、という判断も、この体験から生まれるかもしれません。

最後に

みんなのICTで視覚障碍者IT支援をしているスタッフに耳にタコができるくらい言われるのが「ロービジョンの見え方は本当にさまざま。100人に聞けば100人違う答えが返ってくる。」ということ。

ウェブ制作をしていて、なかなかロービジョンの方に直接意見を聴く機会はないと思います。それが故に、たまたま聞いた意見がロービジョンの見え方の代表のように思って制作を進めてしまうのは、非常に危険だということです。

「見え方は人それぞれ」であるということをしっかりと認識し、様々なユーザーの要望に対応できる「柔軟」なウェブサイトの制作に取り組んでほしいと思います。

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